キッチンは、家の中でも妙な場所です。
ほんの少し散らかっているだけなのに、なぜか一日の気分まで引っぱっていきます。寝室が少々乱れていても、まだ言い訳はできます。けれど、キッチンはそうはいきません。朝になると、容赦なく仕事を始めます。コップを出せ、皿をよけろ、フライパンのふたはどこだ、という具合です。
以前の私は、料理が嫌いというほどではありませんでした。むしろ、整っている日は鼻歌まじりで包丁を持てるほうでした。ところが、いつのまにかキッチンの上には細々した物が増え、引き出しの中には似たような道具が重なり、棚の奥では賞味期限の切れた調味料が静かに老いていました。
その結果どうなったか。料理が面倒になったのではありません。始める前から、すでに少し疲れるようになったのです。
そこで、大掃除のような大げさなことではなく、もっと小さく、もっと実務的に、キッチンを減らしました。すると不思議なことに、気合いで頑張るより先に、動きが軽くなりました。やる気というものは、心の奥から湧く神秘の液体ではなく、案外、作業台の空き面積で決まるのかもしれません。
今日はそのときに、まず手をつけてよかった5つを書いていきます。
本体験談は経験をもとに作成していますが、プロモーションを含みます。
キッチン断捨離でやる気が出る理由
手を動かす前のひと手間が減るから
キッチンのしんどさは、料理そのものより、その前後にあることが多いです。
ボウルを出すために別の鍋をどかし、まな板を置くために郵便物をよけ、使いたい調味料を取るために期限切れの瓶を横にずらす。これが積み重なると、気分がじわじわ削られます。
実際に減らしてみてわかったのは、やる気を奪っていたのは、料理の難しさではなく、着手までのもたもたでした。ここが減るだけで、台所に立つときの気持ちはだいぶ変わります。
判断の回数が減るから
キッチンには、小さな選択が多すぎます。
この保存容器は使うのか、使わないのか。菜箸は3本も必要なのか。似たような小皿は全部いるのか。朝からそんな会議を開きたくはありません。
物が多いと、脳はずるずる疲れます。
逆に、数が決まっていると早いです。選ばなくて済むからです。整ったキッチンは、片付いて見えるだけでなく、判断を減らしてくれる場所でした。

キッチン断捨離でまず捨てる5つ
1.増える一方の空き容器
最初にどさっと手放したのは、プリンの瓶、きれいなジャム瓶、謎に丈夫なプラスチック容器でした。
いつか使うつもりで取っておいたのですが、その「いつか」は、たいへん慎重な性格らしく、なかなか現れませんでした。
しかも、空き容器はあるだけで収納をそれらしく埋めます。
見た目は働いていそうなのに、実際には休暇中です。
私は「3日以内に使い道を言えない物は見送る」と決めて、多くを手放しました。すると棚が急に呼吸を始めました。空気というのは、収納にも必要だったようです。
2.同じ役目の調理道具
次に見直したのは、しゃもじ、トング、菜箸、ピーラー、計量スプーンの仲間たちでした。
なぜか2本、3本とありました。たぶん増殖です。キッチンでは、ときどき物理法則がゆるみます。
特に効いたのは、一軍だけを残して、二軍三軍を引き出しから出したことでした。
よく使う1本がすぐ取れるだけで、料理の始まりがすっとします。
以前は、引き出しを開けるたびにじゃらっと鳴っていました。あの音は、小さいのに疲れます。今は鳴りません。静かな引き出しは、それだけで少し立派です。
3.賞味期限切れの調味料
キッチンの奥には、時間の止まった国があります。
開封したのがいつか思い出せないソース、底に少しだけ残ったスパイス、使う予定のないドレッシング。そういうものが、きちんと並んでいる顔で立っています。
私はここを見て見ぬふりしていたのですが、ある日、冷蔵庫の扉ポケットから古いからしを取り出した瞬間、心の中で何かがぱちっと切れました。
これ以上、調味料の博物館を運営する余裕はありません。
期限切れや使っていない物を処分し、定番だけに絞ると、料理のハードルが下がりました。
味つけで迷う時間が減るからです。やる気が出るキッチンは、選択肢が豊富な場所ではなく、定番がはっきりしている場所でした。
4.使っていない食器とノベルティ
もらいもののマグカップ、かわいい小皿、なんとなく取ってある器。
使っていないのに、食器棚の一等地に住んでいる物たちです。しかも、そこそこ丈夫で、こちらの良心を刺激してきます。
私は「来客用かもしれない」と長く保留していました。
ところが、その来客は驚くほど来ませんでした。どうやら、私の食器棚だけが先走って準備していたようです。
普段の生活で使う枚数に合わせて減らしたところ、洗い物を戻すのがぐっと楽になりました。
食器棚は、満員電車より少し空いているくらいがちょうどいいです。戻しやすい仕組みは、それだけで次のやる気を守ってくれます。
5.罪悪感だけ残るストック食品
最後に手をつけてよかったのは、乾麺、レトルト、買ったままの便利食材でした。
便利なはずなのに、使わないまま期限が近づくと、便利さは消え、代わりに薄い罪悪感だけが残ります。棚を開けるたび、じっと見られている気がします。
私は「非常用」「忙しい日のため」と言いながら、結局いつも同じ物を食べていました。
そこで本当に食べる物だけ残し、食べない物は早めに手放したり、消費の予定を立てたりしました。すると、棚が整うだけでなく、買い物も落ち着きました。
キッチンの断捨離は、物を減らすことでもありますが、気がかりを減らすことでもあります。
この差は思ったより大きいです。

キッチン断捨離のあとに、やる気を保てた小さな工夫
作業台に何もない場所をひと区画つくる
全部きれいにしようとすると続きませんでした。
そこで、作業台の一角だけは何も置かない、と決めました。
たったそれだけで、お茶を入れる、野菜を切る、食器を仮置きする、といった動作がずいぶん楽になりました。
空白は、ぜいたく品ではありません。
キッチンでは実用品です。
買い足す前に、今ある物を一度見る
断捨離のあと、少しだけ危険なのは、きれいになった勢いで収納グッズまで買いたくなることです。
私も一瞬、透明ケースの世界へ旅立ちそうになりました。ですが、そこで止まりました。キッチンを助けるつもりが、物を増やしては本末転倒です。
先にやったのは、今ある物だけで1週間回してみることでした。
すると、足りない物はほとんどありませんでした。
足りないと思っていたのは、たいてい収納ではなく、余白でした。
食材を増やしすぎないために合っていたもの
キッチンを減らしたあと、意外に大事だったのは、物を捨てることより、増やし方をゆるく整えることでした。
私は以前、やる気を出そうとして食材を多めに買い、結果として冷蔵庫をぱんぱんにしていました。志は立派でも、葉物野菜はそこまで感動してくれません。静かにしなびます。
そこで一時期、ここで紹介したいと思えるほど助かったのが、主菜・副菜の2品が20分で完成する献立キットKit Oisixでした。
広告名を見たときは、正直、便利すぎるものは続かないのではと思っていました。ところが、実際には逆でした。必要な分だけ届くので、冷蔵庫の中がごちゃごちゃしにくく、余った食材を持て余して気分が沈むことが減ったのです。
特に助かったのは、キッチンを整えた直後の「まだ散らかしたくない時期」でした。
あの時期は、片付けの反動で買い物まで慎重になります。そこに献立キットが入ると、無駄な買い足しが減り、調味料や食材の在庫管理も楽になりました。
キッチン断捨離のあとに広告を入れるなら、このタイミングが自然だと思います。物を減らした話の流れから、その状態を守る方法として無理がないからです。
もちろん毎日でなくても十分でした。
週に数回だけでも、台所の景色はだいぶ変わります。整ったキッチンは、整えるだけで終わりではなく、増やしすぎない仕組みまで含めて完成するのだと知りました。
キッチン断捨離でやる気が出る:減らす順番が気力を守る
キッチンのやる気は、立派な収納術や完璧な自炊計画から生まれるとは限りません。
むしろ、空き容器をやめる、道具をしぼる、古い調味料を出す、使わない食器を減らす、罪悪感だけ残るストックを見直す。そんな地味な作業のほうが、よほど効きました。
以前の私は、やる気が出たら片付くのだと思っていました。
でも順番は逆でした。
少し減らす。すると動きやすくなる。動きやすくなると、また少し整えたくなる。その繰り返しでした。
キッチンは、家の中の小さな工場です。
狭くても、古くても、ぴかぴかでなくてもかまいません。手が伸びる、戻しやすい、迷わない。そこがそろうだけで、気力は案外こつんと戻ってきます。
必要だったのは、気合いではなく、まず捨てる5つでした。
それだけの話ですが、なかなか侮れません。




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